耳穴での耳栓の感触①(差し込みやすさ)  (第26号)

■おはようございます。「耳栓ブログ|ae The Blog」を運営している高祖です。
お盆も終わり、とうとう夏も終わりに向かっています。
みなさんいかがお過ごしですか?

私は、昨日は、久しぶりに解析ソフトといって
3D cadで製品を設計をした後に、力を加えると
どのように変形するかなどシミュレーションできるソフトの
講習会に行って来ました。

数年前にも同じような講習会に通っていましたが
なかなか楽しいものです。
正直、実践では、いろいろな理由で
使い切れていないので、なんとかうまく使いながら設計できたらと思います・・

■本日は、

「耳穴での耳栓の感触①(差し込みやすさ)」についてお話して行こうと思います。
このことは、今まで少しお話してきている
なぜスポンジ状のポリウレタン耳栓が扱いにくいかなど
に大きく関わっているので一つ一つお話して行こうと思います。

耳栓ブログ|拡大の部分(上記表上での) を押すと、表が拡大されて見ることができます。

■以前にも、お話したと思いますが

前職の補聴器メーカーでは、耳栓(補聴器用)の試作、量産を担当してました。
いろいろと頭で、ああだこうだと考えては、
その設計を3D cadで行なって、3Dプリンターで型をつくり
その型にシリコンを流して試作、さらに評価
それから、もう一度ああだこうだ考えて・・・と作業を進めてました。

■このような作業を進めて

色々な形の耳栓を試していると
たくさんの発見があります。
「見た目では、ここはこうなるべきだから
形状はこうだろう・・・」と思って
作ってみたら、とんでもなくつけ心地が悪かったり
ちょっとした事で、ためしてみたら
案外使える構造だったり・・・

もともと、実験大好きな私にとっては
楽しい作業で、どんどんのめり込く感じですか・・
ハマッテしまいます。

■そのような「耳穴での耳栓の感触」について
大変良くまとめている記事があります。

Chester Pirzanskiさんの
「Earmold Retention Issues: Why Does This Earmold Keep Falling Out?」
という記事です。

タイトルを日本語訳すると
「イヤモールド(補聴器用耳栓)の耳穴内保持について:
なぜ、このイヤモールドはすぐに落ちてしまうのか?」となります。

■この記事は、補聴器、難聴などに関しての情報を伝えている

Hearing Reviewというオンライン情報誌(アメリカ)に掲載されているものです。

この記事には、いろいろな面白い情報が書かれているのですが
特に、「補聴器用耳栓が、耳穴に装着されている時
具体的にどの箇所が、どのような感触に貢献しているか」
をうまく示している図(記事のFigure1ですね)があるのですが
ほんとうによくできています。

■こちらのFigure1を、

日本語訳を行い
分かりやすいように、向きをかえたりして編集したものが
今回の投稿のはじめに記載している図になります。

■ちょっと私の編集した図を説明しますと・・

まず、これは「右耳の場合」です。
緑っぽい色ので描かれているのが
右耳の形です。
左が鼓膜側、右が耳の外側になります。
オレンジ色の部分が、補聴器用耳栓が挿入されている箇所になります。

■オレンジ色の補聴器用耳栓部分のそれぞれの箇所に

説明書きが入っています。
先端部分には、「差し込みやすさ」と書かれています。
私も、このことについては、同感です。

■試作を行なっている中で、私もかなり研究しましたが

先端部分が柔らかいと、耳穴に耳栓を差し込む際に
くにゃくにゃに曲がってしまい
本来配置されるべき箇所に耳栓をガイドすることが
かなり難しくなってしまいます。

■ただ、先端部分が硬すぎると
これはこれで問題が出てきます。

耳栓を耳穴に差し込む際、
耳穴の形、差し込み方などにもよりますが
先端部分が、耳穴の壁にこすれながら挿入されていったりします。

ですので、硬すぎれば、とうぜん耳穴の壁をひっかくことになりますし
先端の形や角度によっては、ひっかきやすことになります。
ここで、設計者の人の腕の見せ所となります。

■ちなみに、補聴器用耳栓の場合

先端部分にスピーカー用の穴が開いていますが
その穴に耳栓差込時に、耳垢をかき集めないという
工夫も必要となります・・・余談ですが。

■みなさんも、一度100円ショップとかで手に入るスポンジ状の耳栓で

「差し込みやすさ」に注意して、
いろいろと試してみると面白いかもしれません。
耳栓を普段使うとき、結構無意識に使っていることが
多いと思いますので、発見があるかもしれません!

■本日は「耳穴での耳栓の感触①(差し込みやすさ)」
についてお話をしました。

本日取り上げた図については
さらにいろいろお話したいので、
次回も同じ図を使って他のお話をさせて頂きます。

■「耳栓ブログ|ae The Blog」では、最近、飛行機用耳栓「FlyFit」の販売を開始しました。興味のあるかたはこちらへどうぞ。

ちなみに、「FlyFit」の先端部分は、硬さと柔らかさが良いバランスになっていて
補聴器用耳栓に比べ(上記の図の耳栓の配置にくらべ)、浅い配置(鼓膜から遠い位置)
になっています。差し込みは、ちょうどよいくらいです。

それでは、次回まで!


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