■おはようございます。「耳栓ブログ|ae The Blog」を運営している高祖です。
お盆も終わり、とうとう夏も終わりに向かっています。
みなさんいかがお過ごしですか?
私は、昨日は、久しぶりに解析ソフトといって
3D cadで製品を設計をした後に、力を加えると
どのように変形するかなどシミュレーションできるソフトの
講習会に行って来ました。
数年前にも同じような講習会に通っていましたが
なかなか楽しいものです。
正直、実践では、いろいろな理由で
使い切れていないので、なんとかうまく使いながら設計できたらと思います・・
■本日は、
「耳穴での耳栓の感触①(差し込みやすさ)」についてお話して行こうと思います。
このことは、今まで少しお話してきている
なぜスポンジ状のポリウレタン耳栓が扱いにくいかなど
に大きく関わっているので一つ一つお話して行こうと思います。
■以前にも、お話したと思いますが
前職の補聴器メーカーでは、耳栓(補聴器用)の試作、量産を担当してました。
いろいろと頭で、ああだこうだと考えては、
その設計を3D cadで行なって、3Dプリンターで型をつくり
その型にシリコンを流して試作、さらに評価
それから、もう一度ああだこうだ考えて・・・と作業を進めてました。
■このような作業を進めて
色々な形の耳栓を試していると
たくさんの発見があります。
「見た目では、ここはこうなるべきだから
形状はこうだろう・・・」と思って
作ってみたら、とんでもなくつけ心地が悪かったり
ちょっとした事で、ためしてみたら
案外使える構造だったり・・・
もともと、実験大好きな私にとっては
楽しい作業で、どんどんのめり込く感じですか・・
ハマッテしまいます。
■そのような「耳穴での耳栓の感触」について
大変良くまとめている記事があります。
Chester Pirzanskiさんの
「Earmold Retention Issues: Why Does This Earmold Keep Falling Out?」
という記事です。
タイトルを日本語訳すると
「イヤモールド(補聴器用耳栓)の耳穴内保持について:
なぜ、このイヤモールドはすぐに落ちてしまうのか?」となります。
■この記事は、補聴器、難聴などに関しての情報を伝えている
Hearing Reviewというオンライン情報誌(アメリカ)に掲載されているものです。
この記事には、いろいろな面白い情報が書かれているのですが
特に、「補聴器用耳栓が、耳穴に装着されている時
具体的にどの箇所が、どのような感触に貢献しているか」
をうまく示している図(記事のFigure1ですね)があるのですが
ほんとうによくできています。
■こちらのFigure1を、
日本語訳を行い
分かりやすいように、向きをかえたりして編集したものが
今回の投稿のはじめに記載している図になります。
■ちょっと私の編集した図を説明しますと・・
まず、これは「右耳の場合」です。
緑っぽい色ので描かれているのが
右耳の形です。
左が鼓膜側、右が耳の外側になります。
オレンジ色の部分が、補聴器用耳栓が挿入されている箇所になります。
■オレンジ色の補聴器用耳栓部分のそれぞれの箇所に
説明書きが入っています。
先端部分には、「差し込みやすさ」と書かれています。
私も、このことについては、同感です。
■試作を行なっている中で、私もかなり研究しましたが
先端部分が柔らかいと、耳穴に耳栓を差し込む際に
くにゃくにゃに曲がってしまい
本来配置されるべき箇所に耳栓をガイドすることが
かなり難しくなってしまいます。
■ただ、先端部分が硬すぎると
これはこれで問題が出てきます。
耳栓を耳穴に差し込む際、
耳穴の形、差し込み方などにもよりますが
先端部分が、耳穴の壁にこすれながら挿入されていったりします。
ですので、硬すぎれば、とうぜん耳穴の壁をひっかくことになりますし
先端の形や角度によっては、ひっかきやすことになります。
ここで、設計者の人の腕の見せ所となります。
■ちなみに、補聴器用耳栓の場合
先端部分にスピーカー用の穴が開いていますが
その穴に耳栓差込時に、耳垢をかき集めないという
工夫も必要となります・・・余談ですが。
■みなさんも、一度100円ショップとかで手に入るスポンジ状の耳栓で
「差し込みやすさ」に注意して、
いろいろと試してみると面白いかもしれません。
耳栓を普段使うとき、結構無意識に使っていることが
多いと思いますので、発見があるかもしれません!
■本日は「耳穴での耳栓の感触①(差し込みやすさ)」
についてお話をしました。
本日取り上げた図については
さらにいろいろお話したいので、
次回も同じ図を使って他のお話をさせて頂きます。
■「耳栓ブログ|ae The Blog」では、最近、飛行機用耳栓「FlyFit」の販売を開始しました。興味のあるかたはこちらへどうぞ。
ちなみに、「FlyFit」の先端部分は、硬さと柔らかさが良いバランスになっていて
補聴器用耳栓に比べ(上記の図の耳栓の配置にくらべ)、浅い配置(鼓膜から遠い位置)
になっています。差し込みは、ちょうどよいくらいです。
それでは、次回まで!